遺言をお考えの方へ
たとえばこんなことはないでしょうか
- 特定の相続人に特定の財産をあげたい、財産の分け方を指定したい
- 特定の相続人に財産をなるべく多くあげたい、あるいはなるべく与えたくない
- 相続人以外の方、たとえば内縁の妻・子、お世話になった人に財産を残したい
- そもそも相続人となる人がいない
- 事業や家業を継いでもらいたい
- 遺言を実現してくれる人を指定しておきたい
- 遺産をめぐって家族が争うのは避けたい
- めぼしい資産が自宅の不動産のみだ
- 言えなかったこと、言いづらかった気持ち、その他のことをメッセージとして残したい
遺言書を作成することをおすすめします
なぜならこれらのことは
遺言をのこせばより確実に実現できること、あるいは遺言でしか実現できないことだからです。
いまや遺言は資産家だけのものではありません
遺言—それはご自身の最後の希望をかなえるものです。
遺言はご自身の財産や身分関係等にその意思を反映させる最後の機会となります。
それだけに大事な遺言書
その円満な実現のために、着地点<ゴール>を見据えて、内容や執行の適正さに気を配ることが肝心です。
遺言形式の適正
遺言書の作り方にはルールがあり、法に定める要件を欠くと無効となってしまいます。
遺言書の種類は通常、次の3種類となっています。
(原則として、②をおすすめしております。)
①自筆証書遺言
- 長所
自分だけで作成できて、修正もカンタン
費用がかからない 等 - 短所
法定の要件が欠けるおそれがある
見つけてもらえない可能性がある 等
②公正証書遺言
- 長所
公証人が形式・内容ともチェックするので確実性が最も高い
原本の紛失・改ざんのおそれがない 等 - 短所
費用・時間・手間・証人を要する 等
③秘密証書遺言
- 長所
①と同じく内容を秘密にできるが、自書する必要がない
改ざんのおそれが殆どない 等 - 短所
費用・時間・手間・証人を要する
原本を自ら保管する必要がある 等
遺言内容の適正
①どんな内容でも実現されるのか
遺言書に記載する内容は「自由に」決めることができます。
しかし、記載したことなら何にでも「法律上の効果=法的拘束力」が与えられるわけではありません。
また「全財産を愛犬ポチに」といった内容のように、一般的な法理や公序良俗に反するものも同様です。
遺言事項は法定されています。
例)・相続分を決める
・遺産の分割方法を決める
・遺産の中から財産を贈る(遺贈)
・認知する
ほか
※遺言事項の多くは「遺言によってのみ」なしうるものです。
上記のような法定の事項が遺言に記載されていればその部分について法的拘束力をもち、原則として、相続人の方はその内容に従うこととなります。
遺産の内容の記載は正確に!
「何の財産」を「だれ」に渡すのかそれを特定できるように正確、明瞭に記載して下さい。
②内容が正しければそれでよいのか
事情の変更
ある「もの」をある「人」にあげるような場合
遺言書を作った時にはあった「もの」、元気だった「人」
いざ遺言が効力を生ずるその時に、その「もの」がなくなっていたり、その「人」が亡くなっていたりすると、せっかくの遺言もその部分については効力を生じません。
一定範囲のご親族の方には「遺留分(いりゅうぶん)」というものがあります。
遺留分とは、遺産のうち最低限残さなければならない一定割合を差します。
たとえこの最低限の一定割合を侵害するような遺言であっても、その効力に影響は一切ございません。
しかしながら、この遺留分を侵害されたご家族がそれで納得されるかどうかはまた別の話です。
こういったことが起こった場合、取り分の少ない相続人の方から不満の声が上がり、あるいは他の相続人の方に対して、自己の取り分を増やすよう求めることが考えられます。
つまりは、「争いのもと」を作りかねないのです。
ご家族の心情にも気配りを
いくら「内容が正しく」て「法律上有効」な遺言であってもご家族の感情的な反発や対立を招くのはなるべく避けたいところです。
確かに遺産の配分はご自身で自由にお決めになれます。
しかし、その中でご家族の心情や現在置かれている状況などを察して頂くことによって、遺言のその本来果たすべき使命を全うすることができるのではないでしょうか。
「何のために遺言をのこすのか」- その原点に時折立ち返って頂ければと思います。
とはいえ、公平な配分をしたくてもできないという場合もあります。
そんなときは、できる限りのフォローを入れることも大切です。
たとえば
- 生前から相続人となる方とコミュニケーションを取り理解を得ておく
- 仮に高額な不動産と預貯金その他の財産があったとすれば、不動産をもらえなかった相続人に対して残りのありったけの財産で「フォローに努めた」という姿勢をみせる。あるいは不動産をもらった方がもらえなかった方にいくらか支払うように「負担付」とする。
- なぜこのような遺産の分け方なのか、理由や背景事情をしっかりと説明しておく。
付言
遺言はあなたの真の心根を伝える最後の機会となります。
前述のとおり、「法定事項」以外の記載には法律上の効果は及びません。
しかし、遺言書の内容は自由に決めることができます。
ご家族への希望、釈明、感謝の言葉など法的な効力をもたない純粋なメッセージを「付言」という形でのこすことができるのです。
遺言書には2つの側面があります
遺言内容の適正チェックもお任せください
遺言執行の適正
せっかくのこした遺言―でもそれが実現しなければ絵にかいた餅になってしまいます。
遺言が適正、円滑に執行されるためにはどうすればよいか
それは、遺言の中で「遺言執行者」を選任しておくことにほかなりません
遺言執行者とは
遺言執行者とは遺言の内容を実現してくれる人のことです。
一部の例外を除き、選任は任意です。
ではどんな人が遺言執行者になれるか
「未成年者や破産者以外の方」ならどなたでもなることができます。
従って相続人の方でも、第三者でも結構です。
複数でも法人でも問題ありません。
遺言によってご自身が自由に選ぶことは可能です。
ただし
- 相続人同士で利害の対立がある場合
- 高度に専門的な知識や手続きを要する場合
こいういったケースがよくございますので、やはり相続人の方以外の信頼できる第三者や専門家に委ねるべきでしょう。
- 相続人の方は勝手に遺産を処分しても法的に無効となります。
- たとえ相続人間に利害の対立があっても、公平な第三者の手により遺言の執行が適正かつスムーズに進みます。
- 面倒な手続き等は遺言執行者が行います。
遺言書があるときの相続開始後の流れ
※公正証書遺言以外の遺言書の場合
家庭裁判所で検認手続きをとる必要があります。
遺言執行者が選任されていれば、遺言執行者が手続を行います。
詳細はご相談ください。